はじめまして、スペインはバルセロナにある、スペイン1部リーグ所属フットボールクラブ“エスパニョール”でトレーナーをしてる松井です。
早スペインに来て、エスパニョールに所属してから4年が経ちました。そこで自分の生の眼で見たスペインフットボール、プロクラブ内部の育成、システム、その他文化等を、日本の皆さんにお伝え出来ればと思っております。
さて第1回目として、今回は簡単に我が“エスパニョール”の紹介をさせて頂きます。
バルセロナと言えば....サッカーファンならご存知の“FCバルセロナ”が言うまでもなく世界的に有名である。ソシオ10万人以上を抱え、ヨーロッパ最大のスタジアム“カンプノウ(約10万人収容)”を持ち、ロナウジーニョをはじめとして、世界的な有名選手を抱えているはいうまでもない。豊富な資金力で有名選手を毎年の様に契約している、いわゆる“世界的ビッククラブ”の一つである。ここ数年の低迷から見事に今シーズン復活し、今現在スペインで一番良いフットボールを披露し、リーガは断トツの首位をキープしている。そのスペイン第2の都市バルセロナのもうひとつのライバルクラブ?なのがエスパニョールである。数年前某日本人選手も在籍していた。92年のバルセロナオリンピックのメインスタジアム、モンジュイックの丘にあるオリンピックスタジアムをホームスタジアムとし、トップチームはスペインリーグで中位を定位置?としている。(今現在最新順位はリーガ4位、今シーズンは調子が良い)主な選手として、タムード(スペイン代表)、デラペーニャ、マキシ(アルゼンチン代表)、ポチェッティーノ(02W杯、アルゼンチン代表)...
エスパニョールの、ここスペイン国内での特長は“カンテラ(下部組織)”の育成にて高い評価を受けている事である。誇張して言ってるわけではない。下部組織はバルサと同等かそれ以上の実力と評価を得ている。ちなみに昨シーズンの成績は、ユースがスペイン2大全国大会にて優勝と準優勝、その下のカテゴリー(日本のジュニアユースにあたる)が、全国5位、ジュニア(日本の小学生にあたる)が、全国優勝と、またその他のカテゴリーも、軒並み同州のバルサを押さえ、リーグ優勝、またあらゆるヨーロッパの都市で行われる交流の大会で良い成績を得ている。またスペインのサッカー関係者にエスパニョールは?と聞くと、“ああカンテラの優秀なね...”と答えるはずである。
ユースからジュニア(小学校低学年)まで、約10チーム、女子チームを入れると、12チーム、総勢250名前後の選手をいわゆる下部組織の選手として抱えている。すぺての選手がスカウトにて(地元バルセロナからスペイン各地まで)入団しており、各選手達は何かしらの“報酬”をクラブから受けている。いわゆる“おこずかい”であり、中学年代以上で月約5万円前後、ユースになると選手によりますがそれ以上をクラブから毎月受け取っている....(バルサやマドリーやその他スペイン1部リーグ所属クラブも同様)
ここではジュニアやジュニアユース、ユースの選手達がいわゆる、プロクラブ傘下の下部組織にスカウトされ入団するとプロ契約ではないが、契約しそれなりの待遇を受けプレーしているのである。驚かれるかもしれないが、それがここの現状である。
青と白をチームカラーとし、バルサやその他のクラブと同じく創立100年以上の歴史を持っている。自分もエスパニョールに入る以前は、バルサファンであった...しかしエスパニョールに入り、クラブの内情や、資金もそんなに持たないクラブの実情を知り(と言いつつ、下部組織には惜しみなく使ってると思うのだが...)、そんな中で頑張ってるこのクラブに愛着が沸いたのは言うまでもない。バルサやマドリーは素晴らしいチームである....しかし所詮彼らは“資金”を持っているのでなんとでも出来るのである...
こちらと日本では、あまりに育成年代での選手を取り巻く“環境”の違いが見うけられる。こちらで行われている事が全ていい事とは思わないし、またそれを日本に当てはめてもきっとうまく行くはずがないであろうと思う時がしばしばある。でもそれらを知る事により、じゃあ日本ではどうすべきなのかが見えて来るであろうと思われる。
なにはともあれ、こちらではこういう事が行われていますよ...というのを中心にコラムしていく予定である。それを読み、サッカーに関わっている方達が少しでも新たな“発見”や“気づき”を得て頂ければ幸いである。
Hasta luego...
松井真弥 1971年広島生まれ 千葉にある某整形外科に勤務しつつトレーナーとして、いくつかのサッカーチームと関わる。2000年、本場のフットボールを生の目で見るのと、スペイン語でやり取りが出来るトレーナーを目指し渡西。現在バルセロナにあるプロクラブ“エスパニョール”に在籍し選手のケアをしてる。